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2025.06.02

【エッセイで感じるMIICAの授業】~国語編

MIICA2025June_KaguyaPD

「古典と創作」

 『君の名は。』という映画をご覧になったことがありますか。この映画では、「入れ替わり」という謎の現象が起こります。また、『転校生』という映画にもなった小説『おれがあいつであいつがおれで』も男女が「入れ替わり」ます。

 このような「入れ替わり」の物語は、平安時代後期に作られた『とりかへばや(取り替えたい)物語』にもあります。この物語は、女性的な性格の兄と男性的な性格の妹を入れ替えるという権大納言の家に生まれた兄妹のお話です。

 古典の世界は決して古臭いものではありません。例えば、言語文化の教科書に掲載されている芥川隆之介の『羅生門』は『今昔物語集』の話を改変した作品で、普遍的な人間の本質について語られています。また、日本現存最古の物語『竹取物語』は、SFとも冒険ファンタジーとも言える作品です。このように古典作品は、今の時代に通用する物語性を持っています。

 千年前の日本人が、何を考え、どんな思いで「物を語った」のか。そこには現代人にも通じる何かがあるはずです。「読みにくいから。」とか「昔の作品なんて読む必要がない。」と毛嫌いせず、まずは、現代と同じ部分と違う部分を見つけてみませんか。そして、古典の作品が生き残った理由を考えみましょう。そこから見えてくるものが必ずあるはずです。

 国語の授業で皆さんに理解してほしいのは、点数のためでは無いということです。世界から注目されている日本のクリエイティブ。日本の文化や風習はもちろん、作品に登場する人々の思いや考え方を知ることで、新しい何かを生み出してほしいという思いがMIICAの国語の授業には込められています。

東京表現高等学院 MIICA
国語教員
山本 司